ロボットの構成

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筆者の独断的な視点でロボットの構成や概要的な話をまとめていきます。ロボットの定義のページにも記載してありますが、ロボットには「知覚」「認識」「判断」「動作」の機能が含まれます。これらの機能に対応するハードウェアは「センサー」「コンピュータ」「アクチュエータ(駆動装置)」です。知覚を行うのがセンサーで、認識と判断を行うのがコンピュータ、動作を行うのがアクチュエータです。ロボットは、これらの要素を組み合わせた「システム」です。(システムとは、1つの機能を実現するために複数の要素を組合わせたもののことを指します。)

ロボットの構成

この関係性が厳密には成り立たない部分もありますが、技術を整理しやすくするためにシンプルに考えることにします。

対応しない部分の例として、住居環境に合わせて賢く制御してくれるファンヒーターのシステムを挙げてみます。ファンヒーターには、住居環境を認識するために温度センサーが付いていて、センサーから取得した温度情報を内蔵のマイコン(コンピュータ)で処理して、いい感じにヒーターの温風の強度を調整するという仕組みになっているとします。

こういったシステム(製品)では、温度センサーのモジュールの中に一定の基準の温度(例えば40°とか)になったら強制的にヒーターの温風をOFFするような電気信号を出力する機能が組み込まれていたりします。コンピュータが正常に動作しなかった場合の危険回避の機能です。基準の温度よりも高いか低いかを比較するのは「認識」であり、その結果からヒーターをOFFすると決めるのは「判断」ですが、これはコンピュータではなく基本的な電気回路(比較だけならコンパレータという回路で行う)で実行します。

この電気回路はセンサー・モジュールの中に含まれ、「センサー」の中で「認識」と「判断」が実行されることになって前述の対応から外れる、ということになります。

センサー

センサーは、物理量(物理現象)を電子データに変換する装置のことを指します。(物理量や物理現象というと堅苦しく感じるようであれば、「人間が感じることができる現実世界」と読み替えていただければと思います。)例えば光の強度を電子データに変換してくれるのが「光センサー」です。

対象が音であれば「マイク(音センサー)」で、物の動きであれば「加速度センサー」や「ジャイロセンサー」があります。狭義の意味では、センサーは、物理量を電気回路(アナログ回路)が扱える「電流」や「電圧」に変換してくれる装置のことを指したりしますが、ここではコンピュータが扱える電子データ(デジタル情報)に変換してくれる部分まで含めてセンサーと呼ぶことにします。

コンピュータ

当サイトでは、判断の機能を実現する装置を広く「コンピュータ」に分類することにします。コンピュータと言いますと、一般的にはパソコンやサーバーマシンのことを指し、CPU(Central Processing Unit)を中核に据えて機能します。

最近は、「ディープラーニング」やディープラーニングによって作成した「ニューラルネットワークによる推論演算」を効率的に実行するために GPU(Graphical Processing Unit)もよく使われます。

GPU もコンピュータの一種として一般的に認識されるようになってきたのではないかと思います。その他、FPGA(Filed Programable Gate Array)や DSP(Digital Signal Processer)、人工知能専用の LSI(半導体の集積回路)も人工知能やロボットの判断の機能を実現するために使われることがあり、これらのデバイスもコンピュータに含めることにしたいと思います。

多くの場合、ロボットの「認識」と「判断」の機能は「ソフトウェア」という形で表現され、コンピュータ(製品)に組み込まれます。ソフトウェアの中には、人工知能のプログラム、人工知能ではないプログラム、OS(オペレーティングシステム)といった要素が含まれます。

人工知能には、例えば機械学習(ディープラーニングなど)によって作られたニューラルネットワーク、強化学習で作られたロボット動作の指令プログラム、センサーで得た情報を賢く分類するプログラム(サポートベクターマシンなど)が含まれます。

人工知能ではないプログラムには、製品のスイッチがONしたら動作を開始させたり、ボタンでヒーターの温風の強度を変更したらそれを直接ヒーターの加熱部分(アクチュエータ部分)に反映させるように指示を出したりするような、基本的なプログラムが含まれます。

また、「フィードバック」を伴う制御を行う場合には、制御用の演算(PIDなど)の数式がプログラムに含まれていたりします。最後に挙げた要素のOSは、Windows や Linux といったもののことを指します。

アクチュエータ

アクチュエータ(駆動装置)は、電子データを物理量(物理現象)に変換する装置です。コンピュータが演算した結果を人間が感じることができる現実世界に反映させます。一般的には、アクチュエータと言うとモーターなどの目に見える動作をするもののことを指すことが多いようです。

一方で、コミュニケーションロボットの中には、音や光を発するだけのものもあります。これらもロボットとして扱いたいと思いますので、アクチュエータは力学的な動作をするものに限定せず、広く定義したいと思います。アクチュエータには、モーター、光源、スピーカー、ヒーターなどを含めることとします。

英語では、音を出力する装置を「sound actuator」といったり、光を出力する装置を「light actuator」といったりすることもあるようですので、音や光を発する装置を定義の範囲に入れてもアクチュエータの本来の意味から大きく外れることはないようです。

なお、出力装置という呼び方もありますが、こちらは「パソコン」の出力装置(液晶ディスプレイやスピーカー)を強く想起させますので、これはこれで適切とは言い切れません。当サイトでは、筆者の独断(好み)によって、アクチュエータという言葉を使うことにします。

インフラ的な要素

ロボットを実際に製作・製造する際には、センサー、コンピュータ、アクチュエータの部品だけでは完成できません。いずれの装置も「電力」がないと動きませんので「電源」が必要です。電源は、主に「コンセントにケーブルでつなぐタイプ」「電池(バッテリー)」「発電装置」の3つのタイプがあります。

その他、センサーやコンピュータを入れる箱(「筐体」と言います)やアクチュエータの機構を形にするための「素材」が必要になります。また、ロボットによっては、外部と通信する「ネットワーク」が必要です。

これらは、ロボットの直接的な機能は担いませんが、ロボットを成立させるために最低限必要な「基盤」としての役割を担います。そこで、これらの要素をロボットシステム内の「インフラ」と呼ぶことにします。

一見、補助的な要素のようにも見えますが、例えばバッテリーに蓄えられるエネルギー量によってロボットが動作できる時間が大きく変わったりしますので、ロボット全体の性能を左右する重要な要素になります。

以上のロボットの構成を図示すると次のようなイメージになります。

ロボットの構成

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