GPU の勉強におススメの本

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素晴らしい良書です。GPU に関わるハードウェアとソフトウェアの技術要素が網羅されていて、GPU の全体像をはっきりと知ることができます。全体的に丁寧かつ具体的に書かれていて、迫力のある内容です。GPU のハードウェアが浮動小数点演算器を複数並べて構成されているという基本的なことから、NVIDIA 社の NV Link や NV Switch といった先進的なハードウェア技術まで勉強できます。また、コンピュータゲーム等のグラフィックの計算処理がポリゴンの座標変換や影の計算などのプロセスから構成されているということや、GPU はそのプロセスの変遷とともに進化を遂げてきたことを学べます。(実際のゲームの画像がカラーで載っていて見ているだけでも楽しいです。)グラフィック向け以外に、近年は物理シミュレーションやディープラーニングなどの科学技術計算にも GPU が活用されているということや、そういった計算で GPU を活用することの優位性を理解できます。分量は多くないものの、CUDA や OpenCL といった GPU に関連するプログラミング技術にも触れられています。一方で、この参考書をスムーズに読み進めるためには、コンピュータアーキテクチャ、プログラミング、デジタル回路、半導体などの予備知識が多少必要かもしれません。相当のボリュームの知識を 400 ページに満たない本に凝縮していますので、致し方ないでしょう。本気で GPU を勉強したい人に読んでいただきたい、非常におすすめの本です。

 


タイトルにある「CUDA」は、NVIDIA 社製の GPU に演算をさせるためのプログラムの専用ライブラリ(プラットフォーム)です。主にプログラマー向けの内容の本ですが、プログラムと GPU アーキテクチャを結び付けて書かれており、GPU のハードウェアの勉強にもなります。(ハードウェアの説明はそれほど多くはありませんが、そもそも GPU に関する日本語の参考書が少ないという状況下では貴重かもしれません。)GPU が得意とする並列演算の仕組みやそのプログラムの書き方に加え、メインメモリやキャッシュといったメモリの種類とその使い方が詳しく書かれています。CUDA の本ということで NVIDIA 社製の GPU に限定されますが、「Keplar」等の歴代の GPU アーキテクチャの特徴も紹介されています。単なる CUDA のライブラリリファレンスという位置づけではなく、ソフトとハードの両面から GPU を詳しく学ぶことができる良書です。

 


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