知覚とセンサー

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センサーによって現実世界の情報をどのように知覚するのか、例を挙げながらイメージを掴んでいきます。当サイトでは、ロボットを扱うことから機能の表現をやや人間に寄せて「知覚」という言葉を使っていますが、ここでの「知覚」は「計測」「測定」「検出」という言葉とおおむね同義です。慣れ親しんだ言葉に置き換えて読んでいただければと思います。

音の知覚

「音」を知覚するために使用するのは音センサーです。音センサーは、一般的に「マイク (マイクロフォン)」と呼ばれます。音の実態は、空気の密度の振動(粗密波)です。空気が振動しているところに軽い物体を設置すると、その物体も振動します。物体の種類が磁石や金属になると、物体の振動が電気信号に変換されます。あとは電気回路 (電子回路・アナログ回路)によって振動の情報を電子データに変換することで、音の知覚は完了です。

さらに、音の電子データをコンピュータで処理することで音の高さや大きさの情報を取り出すことができます。その後、コンピュータで音声認識の処理を行うことで、音を発する事象を特定したり、人間の言葉として認識したりすることができます。

視覚情報(画像)の知覚

視覚情報、つまり画像を知覚するために使用するのは「イメージセンサー」です。視覚情報は「光」で構成されますので、光を検出することになります。光を検出するのは「光センサー」です。光センサーを大量にピクセル状に敷き詰めたものがイメージセンサーになります。例えば fullHD の規格であれば 1920 x 1080 個(約 200 万個)並べます。イメージセンサーにレンズや液晶画面、ボタンスイッチ等を組み合わせて製品としたのが「デジタルカメラ」です。イメージセンサーはスマートフォンにも搭載されています。

各ピクセルの1つ1つの光センサーは「フォトダイオード」と呼ばれるセンサーデバイスです。光電効果と呼ばれる物理現象によって、フォトダイオードに光にあたると光の量に応じた電荷が生成されます。電気回路によって電荷量を電子データに変換して、全ピクセルの情報を集めて画像データとして保存すれば、視覚情報の知覚の完了です。

画像データを取得する際には、光をフォトダイオードにあてる時間(露光時間)を決めておきます。この時間を決めるのがシャッターです。シャッターが開いている時間だけ光がフォトダイオードに入ります。

ロボット本体の姿勢の知覚

例えば2足歩行の人間型ロボットが倒れたり転んだりしていないか等の姿勢を知覚するためには「加速度センサー」と「ジャイロセンサー(角速度センサー)」を使います。ロボットが急に不自然な動きをすると加速度が発生しますので、ロボット本体に加速度センサーを取り付けておけば、不自然な動きを認識することができます。

加速度センサーを使った一連の機能の例は次ような感じです。加速度に対して何らかのしきい値(基準)を設定しておきます。加速度センサーから出力される信号がその値を超えたら何か問題が発生していると認識します。そして、ロボットの次の動作を止めるなどの危険回避の機能を発動するといったことをしたりします。

一方で、加速度センサーだけではロボットの姿勢を完全には把握することができません。加速度センサーをロボットの重心に取り付けた状態でロボットが「回転」した場合、加速度はゼロですので回転を知ることはできません。回転を知るためには「ジャイロセンサー (角速度センサー)」を使います。加速度センサーとジャイロセンサーを同時に使用することでロボットの姿勢を完全に知ることができます。

一般的に、物体の姿勢と動きを認識するためには、3次元空間上の X 軸・Y 軸・Z 軸の加速度情報と X 軸・Y 軸・Z 軸を中心とした回転の角速度情報の計 6 個の情報を使います。6 次元のパラメータ空間上のベクトルとして表現できることから、この 6 個の情報のことを 6 軸と呼んだりします。

以上が大まかな知覚とセンサーのだいたいの雰囲気です。詳細はまた別ページにて整理していきたいと思います。

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