世の中にどんなセンサーがあるのかを知りたいと思っている人におススメの本です。IoT向けと謳っていますが、ロボット向けのセンサーの技術と共通の要素を多く含みます。実際のセンサー製品の写真、構造や原理のイラストが豊富に掲載され、それぞれのセンサーのイメージを膨らますのに役立ちます。具体的な数式や数値はほとんど登場しませんので、本格的にセンサーを学ぼうとする人にとっては物足りないかもしれません。一方でイラストとリンクさせながら文章で原理の説明はしっかりとしてくれていますので、センサーに詳しくない技術者にとっては読む価値のある本です。
自動運転向けのセンサー技術に焦点を当てた数少ない本です。自動運転全般を取り上げた本ではブレーキ・ステアリングなどの操作や法令などにも触れるため、センサーについての記述が薄くなってしまいがちです。この本は、カメラ(ステレオカメラ)、LiDAR、ミリ波レーダー(電波レーダー)、超音波センサーのそれぞれについて写真やイラストを交えて説明しており、センサーについて比較的詳しく知ることができます。さらに、カメラや LiDAR から得た情報に対する認識アルゴリズムまで解説してくれており、自動運転のセンサーシステムの全体像をイメージするのに役立ちます。なお、センサーそのものの説明は全160ページ中の前半50ページくらいまでで、その後は認識アルゴリズムに紙面の多くを割いています。画像認識アルゴリズムに詳しい人にとっては、センサーについての情報が少ないと感じるかもしれません。一方で、アルゴリズムを実際の自動運転システムにどのように応用・実装するかも知ることができますので、本の後半部分はアルゴリズムの専門家にとっても読む価値があるかもしれません。
ミリ波レーダーについて書かれた貴重な本です。ミリ波レーダーの開発や研究は何十年も前から進められていますが、技術的な難易度が高いこともあってか多くの部分が企業秘密になっているようで、まとまった情報が Web サイトや書籍にあまり見られません。そういった中で、レーダーの原理から自動車の自動運転システムや運転支援システムへの応用について詳しく書かれた価値ある本です。ただし、事前に無線の変復調の原理を理解していないと読み進めることは難しいでしょう。ミリ波レーダーを仕事で専門的に扱う技術者でない限り、あまりお勧めできません。一応、無線の変復調に関する参考書を下記に紹介しておきます。
やや古い本ではありますが、無線通信技術の勉強を始める技術者のバイブルとして長く読まれている本です。